躊躇の末

古い友人にお願いすることに決心しましたが、なかなか電話をかけられない。何せ直接会うのは数字うん年ぶりになります。とはいえ、色々な分野での活躍は聞いているし見てきました。

何度か躊躇した後に、直接携帯に電話をしました。とはいえ、電話も数年ぶりでかけるので電話番行関わっているのかもしれません。背中と、胸にべっとり汗をかいているのがわかりました。

「いや先輩、随分とお久しぶりじゃないですか?どうなさったのですか。」「実は他でもない、久しぶりにお電話してこんな話をするのは気が引けるのですが、前立腺癌があって開業医の先生によると肺転移もあるらしく、それが本当なのかどうか、あるいは本当なら生きれる時間はどのくらい?というのを知りたいので、ぜひお知り合いの専門の先生をご紹介していただきたい。」

「ちょっと待っててください・すぐ折り返し電話をしますから」と言って電話を切られました。

もはや、心の中にあるのは縋る気持ちと癌じゃなければいや癌でも助かるなら見たいなわけがわからない精神世界の中に入っていた様な気がします。電話持ったいる間はなんでこの俺がこんな事態に、何か悪いことをしてきたのだろうか?きっとそうだこれは天罰だと

なんとも情けないマイナス思考の中に沈んでいった。

ハッと気がつくと、電話が鳴っている。「先輩、いい先生いますからその先生にかかってください。外来受診です。僕の先輩で恩義がある方です。前立腺癌の肺転移と言われているそうですとお話ししてあります。その先生の外来は明後日ですから受診してください。あとのことは受診後に」

「ありがとうございます。それではその日に伺いますのでよろしくお願いします。ところで、こんなしばらくぶりにお電話差し上げたのに早急な対応でありがとうございました。途方に暮れているところでした。」と言って電話を切りました。

いよいよ、再受診です。自分はこんな友達を持って幸運だったのかもしれません。感謝して自分の不実を恥じ、誰にも不実を起こさないように生きようと心に誓いましたが、終わるまでの短い時間を考えていました。

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