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認知症に気づく!

1、気づく!

認知症の種類によって初期症状は異なります。どんなできごとがきっかけで気づくのでしょうか?一般によく言われているのはもの忘れが初発症状と言われています。

初期から「理解や判断速度の低下」や「集中力・作業能力の低下」が始まるようです。特に日常的な家事や趣味などに変化が表れます。

代表的な初期症状と言われるものは、もの忘れ・同じ話を繰り返す、約束をすっぽかす、ゴミの回収日を守らなくなる、同じものを不必要に何度も買ってくる、鍵や財布をなくす、料理の味付けがおかしくなる理解力・判断速度の低下・買い物の支払計算が難しくなり、小銭があって常にお札で払う、周囲の会話速度についていけず理解が難しくなる、走ることができないのに、信号が赤になりそうなときに渡ろうとする集中力・作業能力の低下・読書好きの人が本を読まなくなる、テレビドラマの筋が追えなくなり見なくなる、趣味の手芸や工作、料理などの家事を途中で放棄してしまう精神的混乱や落ち込み・楽しみだった活動をやめてしまう、人付き合いを避けるようになり、やる気がなくなる、怒りっぽくなる以上のような行動症状が複合的に出てきます。

こんなに初期症状があると言うのに注意をしないと見逃してしまいがちとはどう言うことなのでしょうか?これら全てが一人に現れるわけではなく重なり合って起きてくるからです。しかし、本人にとってはこうした症状は辛いようですが周りの人たちが気づいてあげることが大事な気がします。本人に自覚症状がなくても、周囲と話がかみ合わない、誤解されている、どうもおかしなことが起こりはじめていると感じるようです。それは漠然と強い不安や混乱を感じるようです。

2、そしてその症状は?

これまで、できていたことができなくなった、急にわからないことが増えたことによる恐れや自信喪失から感情や意欲にも変化が現れます。こうした認知症の症状は、大きく中核症状と行動心理症状に分類されます。

中核症状とは文字通り認知症の中核にあると想定されている症状、認知症にとっては必ず出てくる症状で、脳の病変による認知機能の低下から引き起こされると言われています。程度の差はあれ必ず起こりうる症状で、進行とともに徐々に重くなり、進行を遅らせることはできても、進行を止めることはできません。

一方、そうした中核症状と、周囲の環境や対応、その人の性格などが相互に影響し、二次的に生じるとされる症状が、行動・心理症状です。中核症状に対し副次的に生じるものという側面から、周辺症状と言うこともあります。

3、中核症状

認知症は結果的に記憶を司る脳の海馬という部位が破壊され、記憶障害が生じます。誰しも老化に伴うもの忘れがみられるようになりますが、単なる物忘れと認知症の記憶障害には①から③のような大きな違いが見られます。

①短期記憶ほど失われ、長期記憶は保たれやすい

記憶は、数分~数日のことに対する短期記憶と、数か月~数十年前にわたる長期記憶に分けられます。認知症の初期では短期記憶が失われやすく、症状が進行すると長期記憶へ障害が広がっていきます。短期記憶が失われたとき、残された長期記憶を利用して状況を理解しようとすることがあります。短期記憶の例・先ほど物を置いた場所、話していた話題、買い物に来た目的の品物など 長期記憶の例・数年前の旅行、子ども時代のできごとなど

②体験を部分ではなく丸ごと忘れる

体験した出来事にまつわる記憶をエピソード記憶と呼びます。通常のもの忘れでは体験したできごとの一部分を忘れることはあっても、丸ごと忘れてしまうことは稀ですが、認知症では体験した記憶を丸ごと失ってしまう状態がみられます。このようなもの忘れは、認知症と認識されていない場合、下のように周囲の人には理解されづらいものです。

エピソード記憶忘れによるトラブル例・友人と食事に行き支払を立て替えてもらった→友人と食事に行ったことを丸ごと忘れる→後日、お金を返してほしいと言われるが、本人は「食べに行っていない」という→友人は「ウソつき」「とぼけている」と思うようになります

③一般的な知識や体で覚えたことは忘れにくい

短期記憶やエピソード記憶は初期から失われていきますが、一方で物事に対する一般知識・教養である意味記憶、楽器や編み物などいわゆる体で覚える手続き記憶と呼ばれるものは失われにくいものです。

見当識障害 時間や場所、周囲の人々と自分との関係を理解し見当をつける能力を「見当識」といい、それが低下することを「見当識障害」と呼びます。見当識障害は多くの場合、時間→場所→対人→理解力→失行、失認、失語の順で起こると言われます。一つ一つについて少しだけ説明を加えると・・・

A  時間の見当識障害 いまが何時か、何月何日かがわからなくなることから始まり、昼か夜か、今はどの季節なのかわからなくなっていきます。

B  場所の見当識障害 外出先で今どこにいるのかわからなくなり、道に迷うようになります。徐々に自宅が自宅と認識できなくなり、他人の家と認識し帰ろうとしたり、トイレの位置がわからなくなり排泄のトラブルを起こすようになります。

C  対人関係の見当識障害 比較的、症状が進むと生じてきます。当初はご近所の方や普段会わない方が、次第に家族や近い人間がわからなくなります。例えばお孫さんgがわからなくなり、お子さんの小さいころと認識したり、妻のことをご近所の優しいおばさんと認識したりするようになります。ただし、その相手が顔なじみか、安心できる人であるかどうかを把握する力は失われにくいようです。次第に単純な作業(更衣の順番など)もわからなくなり、下着を衣服の上に身に付けるなどが見られるようになります。更衣の順番が難しくなると、次第に更衣自体を避けるようになっていきます。

D 理解力判断力の障害 ものごとを素早く適切に理解し、判断することが難しくなります。急かされなければ適切な理解や判断ができることも多いのですが、信号や踏切を渡るタイミング、乗り物の運転など、早く瞬時に理解、判断する必要があり、生命の危険に直結する状況では注意が必要です。

E 失行、失認、失語 道具の使い方、適切な手順で目的を達成する動作が難しくなる失行、目から得た情報を適切に認識できなくなる失認、音声や文章からの言語の理解や表現が難しくなる失語などの症状もあります。いずれも身体的には異常がみられないのに、脳神経の障害のために困難になっている状態です。障害のタイミングや部位により症状は多様で、生じる時期にも個人差があります。

さらに、他の症状が目立たない初期からこれらの症状が生じる場合があり、周囲からは認知症による症状と理解されず、「できるのにやっていない」と思われることも多くあります。

4、行動・心理症状(周辺症状)

中核症状は、本人に強い不安や混乱、自尊心の低下をもたらします。そのような精神状態に、周囲の環境や人々の対応、ご自身の経験や性格などの要因が絡み合い起こってくるのが行動・心理症状です。周囲にとっては「問題行動」とみなされる症状も多いのですが、本人にとっては何とかよりよく適応しようと模索した結果でもあるようです。そのため、ご本人の症状を理解し、適切にケアされれば行動・心理症状が軽減・消失する可能性があります。

行動・心理症状には主に以下のようなものがあります。

A 興奮 暴力や暴言、介護への拒否 感情をコントロールする部分である脳の前頭葉の委縮や、脳の疲れやすさから、比較的初期から感情が抑えにくくなっていきます。そんな中、ご本人にとって理解が困難な状況におかれ、尊厳が傷つけられたと感じる対応をされると、症状が強く表れます。

B 抑うつ 不安、無気力 上記と同様に脳が疲れやすいために、何か行動を起こそうとするエネルギーが出てこないことがあります。また、できないことが増えたと感じ自信や尊厳が傷つくことでも症状が表れます。

C 徘徊 場所の見当識障害が進むにつれ、外出時に道に迷うだけではなく、自宅や施設など見慣れているはずの景色が初めての場所と感じられ、「ここがどこか確かめたい」「家に帰らなければ」などの理由で外出をしたいと思うようになります。ご本人にとっては必然的な理由があるため、無理に引き留め出かけないよう説得することはかなり困難です。

D 妄想 客観的にはあり得ない考えを、他人が訂正できないほど確信するようになる症状です。例えば、記憶障害が進み置き忘れた財布やお金を周囲の人に盗られたと主張する「もの盗られ妄想」は初期からしばしばみられます。また、理不尽な対応をされた、いじめられたなどの「被害妄想」や、配偶者が浮気をしているというような「嫉妬妄想」もみられます。自分にとって身近で大切な人だからこそ、その関係性が悪化し維持できなくなるという不安から引き起こされることが多いようです。

E 幻覚 現実的にはあり得ないものをまぎれもない現実として見聞きし感じられる症状です。衣服などを人や動物と見間違えるようなものから、見知らぬ人が話しているというようなものまで多様な症状がみられます。レビー小体型認知症では特に多くみられますが、薬物や水分不足、睡眠不足が引き金になっているなど、その原因も様々です。その他にも、昼夜逆転や睡眠障害、食物ではないものを口にする異食や、排せつ物をいじってしまう不潔行為などが行動・心理症状として挙げられます。

ひとくちに認知症といっても、上記のような多様な症状がどのように表れるかは個人によって大きく違います。中核症状に対し、行動・心理症状は適切なケアで防げる可能性はありますが、症状には複雑で幅広い要因が絡み合っており、適切なケアで防げるとは言えません。時にはご本人とともに、症状のあるがままを受け止め、適切な支援を受けながらうまく症状と付き合っていくことも必要です。