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脳血管性認知症って?

1,脳血管性認知症の発生

脳梗塞や脳出血などの脳血管障害によって発症する認知症を脳血管性認知症と言います。当然ですが、脳の障害を受けた場所や障害の程度によって症状が異なります。

脳血管に障害が起きると、その周辺の神経細胞が死滅するというダメージを受けます。脳のMRIやCT画像を見ると、障害の跡がわかりますが、このダメージによって認知症を発症します。これを脳血管性認知症と言います。

年齢は60~70歳代に多く、男性に多い傾向があります。高血圧、糖尿病、脂質異常症などの基礎疾患があるとなりやすくなります。こうした基礎疾患をきちんとコントロールできていなかったり、喫煙をしたりしていると、血管に弾力がなくなり、血液の流れが悪くなります。このような状態を動脈硬化といいます。動脈硬化が悪化すると、やがて、脳の血管が詰まったり、破れたりします。その結果、神経細胞に栄養が行き届かず、失われてしまい、脳の働きが悪くなるのです。

この脳血管性認知症は、アルツハイマー型認知症に比べ男性の割合が高く、男女比は2:1の割合だと言われています。脳血管障害発生により引き起こされるため、若い世代の発症も見られ、この場合高次脳機能障害と言われることもあります。

2,症状は?

脳血管障害では記憶は比較的保たれていますがせん妄が起きて認知機能が悪化することがあります。

1、意欲や自発性がなくなったり落ち込んだりすることもあります。2、感情の起伏が激しくなり、些細なきっかけで泣いたり興奮することがあります。3、脳血管障害によって、手足に麻痺や感覚の障害など神経症状が現れることがあります。4、ダメージを受けた場所によっては言語障害などが出る場合もあります。重篤だと失語症も併発します。

脳血管性認知症の場合、症状として一般的なものは、①記憶障害、②見当識障害、③実行機能障害などです。

 特に特徴的な症状は、生涯を受けていない部分の機能が保たれるため、できることとできないことの差が大きいことからまだら認知症と呼ばれる特徴的な症状を呈します。

また、手足の麻痺、構音障害、飲み込みの障害、感覚障害などの神経症状を伴いやすいのが特徴です。

また、障害部位としては小さくても、非常に大きな役割をもつ場所に生じた脳梗塞では、脳梗塞が起こった場所だけでなく、その部位と機能的に密接な関係のある領域の障害が脳血流SPECT検査で認められることがあります。

ほとんどのタイプの血管性認知症は、初めて脳血管が詰まったり、破れたりした時に突然発症します。そして新たに脳血管が詰まったり、破れたりすると、そのたび一段と症状が悪化します。いわゆる階段状の症状進行で代表的です。ただ、血管が少しずつ詰まるタイプの血管性認知症の場合は、必ずしも 階段状にはは進まず、ゆるやかな進行をたどることもあります。

残念ながら、一度失われた神経細胞はもとに戻すことはできません。脳の血管がさらに詰まったり、破れたりして、新たな脳の神経細胞が失われないように、血圧をコントロールしたり、糖尿病などの基礎疾患の治療が重要です。

ただし、脳血管障害の治療が進み死亡率が低下したため、身体的な障害をもつ人がかなり多くなりました。特に、半身麻痺を中心に軽度の麻痺から重度の麻痺まで多種多彩ですからリハビリが大きなウエイトを占めています。

3.脳血管障害の治療

多くの場合、脳血管障害発生後に脳のCTやMRIによる画像診断で障害部位を把握し、認知機能にかかわる部位の損傷と、それに対応する認知症症状が発症した時に診断されます。また、脳の血流量が低下している場合も同様に脳機能低下が生じるので、血流量シンチグラフィーなどにより血流量を測定することもあります。

死滅した脳細胞をよみがえらせることはできませんから治療法はないともいえますが、脳は隣接箇所が代わりに機能を果たすことがありますので、機能の可塑性があることがわかっています。したがって、脳血管障害の再発防止と転倒・肺炎等の予防に努めながらリハビリテーションに取り組むことができれば、機能の回復と維持が可能です。

そのためにも、血圧や血糖などをコントロールするなど医療との継続的なかかわりが必要なほか、麻痺や失語症など幅広い症状が併発するため、理学療法士、言語聴覚士など、多様なリハビリテーション職の支援も多く必要になります。

脳血管障害再発予防のため、高血圧薬や脳血流改善薬などを継続して服薬することになります。初期においては、症状の自覚から抑うつ状態や無気力状態になりやすいため、対症療法として抗うつ剤などの処方も考えられます。

多彩な症状を併発しやすい脳血管性認知症の人にとって、心身の機能を改善・維持するためにも理学療法士による運動機能のリハビリテーションや、言語聴覚士による言語機能のリハビリテーションはとても重要です。嚥下機能の低下がみられる場合は嚥下リハビリも必要になってくるでしょう。通所・訪問リハビリテーションも効果的ですが、専門職に日常生活で取り組みやすいものをアドバイスしてもらうとよいでしょう。ご本人に無理がなければ、老人保健施設のショートステイなどを活用し、日常のリハビリテーションの効果の点検や、ご家族の負担軽減を行うのも一手です。