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前頭側頭型認知症って?

1、前頭側頭型認知症

1892年、チェコカレル大学アーノルドピックが「老化性脳萎縮と失語症との関連」と題した症例報告で前頭葉と側頭葉の著明な萎縮を呈する精神疾患を最初に報告してから1906年までにピックは同様の報告を何回か行い一連の疾患はPickの限局性脳萎縮症として知られるようになりました。

この辺りの症例報告はアルツハイマーとは少し違います。病理形態面では、1911年にはアルツハイマーがいわゆるピック球についての報告を行っています。1926年には日本の大成潔と独スパッツがこの疾患の特徴をまとめPick病と命名しました。

1996年になると前頭側頭型変性症という概念が提唱されるようになり、前頭葉および側頭葉を侵す孤発性または遺伝性の疾患で、ピック病含まれているという概念が確立されましたが、ピック病にはまだ明確な診断基準がありません。この前頭側頭変性症による認知症を前頭側頭認知症と言います。この認知症の80%はピック病と言われています。発生頻度はアルツハイマー型認知症の10分の1以下で発症年齢は比較的分かる65歳以下と言われています。精査はなく家族歴はあるということですから、遺伝的素因はあると思われています。ただし、一般にはあまり認知されていません。

2、前頭側頭型認知症の症状

前頭側頭型認知症の場合は、前頭葉と側頭葉の萎縮が起こります。前頭葉は「人格・社会性・言語」を、側頭葉は「記憶・聴覚・言語」を主につかさどっています。そのため、前頭側頭葉型認知症を発症すると、これらが正常に機能しなくなります。そこで起きるのが、①社会性の欠如、②抑制が効かなくなる、③同じ事を繰り返す、④感情が鈍くなる、⑤自発的言葉の低下などが起こってきます。

こんなことを書くと結構わかりづらくなりますのでもう少し具体的に書いてみますと、万引きのような軽犯罪を起こす、女性のお尻を触るとか破廉恥な行為をしてしまう。身だしなみに無頓着になるなど、社会性欠如を起こします。これは犯罪行為なので注意が必要です。

分別のあるはずの働き盛りの男性が、痴漢や万引きなどの犯罪行動を起こし、捕まったことをきっかけにピック病が見つかったというケースはよくあるようです。テレビでも万引きや置換の放送が時折ありますが、高齢者の万引き、紳士然とした人の痴漢どれだけの人が前頭側頭型認知症に起因しているか想像もできませんし、最初に前頭側頭型認知症を疑うくらい病気に対する知識は誰も持ち合わせてはいないように思います。

その他、相手に対して遠慮ができない、相手に対して暴力をふるう、度を越したふざけをするなど、自分に対して抑制が効かない状態やいつも同じ道順を歩き続ける、同じような動作を取り続けるといった、同じ行動を繰り返すなどと言う行動が目につくようになります。その他にも感情が鈍くなったりと人格が変わったんじゃないかと言うような行動を取るようです。さてさて、こんな症状が緩やかに進み発症から6〜8年で寝たきりの廃用症候群になってしまい死に至ります。

この前頭側頭型認知症、ピック病は、一般に知られていないので認知症として、気がついた時には手のつけられない状態になっていることが往々にしてあります。

3、前頭側頭型認知症の総括

神経変性による認知症は、脳の中身である神経細胞が徐々に減ってしまったり、一部に本来みられない細胞ができ、脳が萎縮することで発症することがわかっています。

突然、怒り出すことが増えてきた」「女性のお尻や胸に触れるような痴漢行為をするようになった」「万引きをするようなった」など、今までとは明らかに違う様子を感じたら迷わず専門家に一度見てもらいましょう!

前頭側頭型認知症は40~60代に発症する「初老期認知症」の代表的疾患です。脳の前方にある前頭葉と側頭葉が萎縮する前頭側頭型認知症のひとつに、ピック球と呼ばれる脳の神経細胞の塊が前頭葉と側頭葉にできるピック病があります。

前頭側頭認知症は、人間らしさを一気に奪い、理性的な行動をとれなくなる恐ろしい認知症です。現在、日本国内には1万人ほどのピック病患者がいると推定されていますが、この病気を診断できる医師がまだ少ないこともあって実際の数はずっと多いとみられています。本人は病気である認識がまったくないため、周りが変化に気づいてあげることが必要になります。