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アルコール性認知症って?

1、アルコール性認知症

 読んで字のごとく、アルコールの大量摂取を続けることを原因に発症する認知症のことを言います。ただ、この言葉は医学用語ではありません。アルコールの大量摂取によって脳が委縮することや、大量摂取で起こる脳血管障害などで認知症になることは分かっていますからアルコールが原因と考えられる認知症を称してこの言葉が用いられます。

私見ですが、アルコール大量摂取で廃用症候群を呈して入苑、要介護5の認定を受けていた要介護者が3ヶ月程度で歩行が可能になり要介護1となって退苑すると言うドラステックな経験をしたことがあります。すごい回復だと思っていましたが、排泄コントロールがうまくいかず、最後までオムツをしていると言う状態でした。それでも”飲みたいなあ”と退苑まで言っていました。やはり、完全に元に戻ることはないと実感しました。

当然ですが、アルコール性認知症は、高齢者だけでなく65歳未満の比較的若い世代も発症しますが、若いとアルコール性認知症を考慮せず疲れやストレスのせいと考えて見過ごしてしまいがちですから注意が必要です。

2、アルコールと認知症の関係

多量飲酒は、認知機能低下や認知症がみられることは分かっています。若い人のアルコール依存症でも飲酒のために前頭葉機能が障害され、やや高齢の依存症では物忘れや認知症が高い割合でみられるようになります。

アルコールが関係する認知症の原因は前頭葉萎縮、多発性脳梗塞などの脳血管傷害、頭部外傷、肝硬変、糖尿病、ウェルニッケ・コルサコフ症候群を含む栄養障害など多岐に及びますが、アルコール性認知症は、飲酒によって引き起こされるさまざまな認知症をまとめた概念で、狭義ではウェルニッケ・コルサコフ症候群を指すとされ流ことがこの頃多くなってきました。

今の医学ではアルツハイマー病やレビー小体病などによる認知症の場合、進行性で回復することはありませんが、アルコールの伴う認知症の場合には長期間の断酒よって認知機能や物忘れが改善することもあります。それは、とりもなおさずアルコールが脳の働きを悪くさせていることを証明しています。

3、ウェルニッケ・コルサコフ症候群

お酒を多量に摂取すると、アルコールを分解するためにビタミンB1(チアミン)が使われるので、脳内のビタミンB1が足りなくなって「ウェルニッケ脳症」を起こします。
症状としては、意識障害や歩行障害、そして眼球がけいれんするように動く眼振などが挙げられ、食事をとらずに多量の飲酒を続けるアルコール依存症の方に多く見られます。

最近ではビタミンB1を大量に静脈投与するなどの初期治療で半数以上が回復するようになりましたが、回復しても8割の人に、新しいことが覚えられない健忘、時間や場所が分からなくなる見当識障害、作り話をしてしまう作話などの後遺症が残ります。これを「コルサコフ症候群」または「コルサコフ健忘症」と呼んでいます。

コルサコフ健忘症はウェルニッケ脳症の80%に起こると言われています。この80%をウェルニッケコルサコフ症候群と呼びます。

4、なりやすい人

アルコール性認知症になりやすい人は65歳以上の高齢者です。高齢者は、加齢によって脳の機能が低下しているところにさらに多量のアルコールを摂取することで脳の萎縮が進み、認知機能が低下します。すると、前頭葉を中心に侵されるので注意力や記憶力が低下したり、感情のコントロールがきかなくなったりします。これが広義の「アルコール性認知症」です。高齢化社会に伴い、アルコール外来を受診する65歳以上の数は増加傾向です。
高齢者の飲酒は認知症だけでなく、脳梗塞や高血圧、骨密度の低下による骨折などのリスクも高めます。

4、治療法

アルコール性認知症は、お酒を断つことで治る見込みがあります。アルコールによって萎縮した脳は、飲酒をやめて十分な栄養をとることで戻る場合があります。アルコール依存症の方で自制が難しい場合は、療養施設に入院したり、アルコール外来で飲酒欲求を減らす薬や抗酒薬を処方してもらったりすることも断酒に近づく方法の一つです。
ほかにも、“断酒したい”という仲間が集まる自助グループに参加することで、断酒の継続に成功した人も多くいます。

5、アルコールの適切量は?

国の健康施策「健康日本21」で適切とされている1日のアルコール量は、純アルコールでおよそ20グラム。アルコール度数5%のビールで500ミリリットル(中瓶1本)、ワインで180ミリリットル(グラス1.5杯)、日本酒で180ミリリットル(1合)に相当すると言いますがこの程度じゃ飲んだことにはならないと思う人が多いんじゃないかしら。

6、酒は百薬の長?

少量の飲酒は、全く飲まない場合と比べて認知症の発症リスクが低く、一定量を超えると飲酒量とともにリスクも増加するということが以前から言われてきました。一定量というのは純アルコールで20グラム程度と考えられます。この関係を縦軸に発症リスク、横軸に飲酒量をとってグラフにすると「J」の形を描くため、Jカーブと呼ばれています。ただし、認知症に関することに言えるだけでがんのリスクなど他の疾患は正比例の関係です。まあ、やっぱり適度にと言うことなのでしょうね〜