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アルツハイマー病って?

1、アルツハイマー病

 アルツハイマー病の名前は、独の医者アロイス・アルツハイマーに由来しています。アルツハイマーは、独ミューヘン大学で精神医学の大家であるクレペリンもとで研究をしていました。同じ教室には、後にレビー小体を発見したフレデリックレビーも在籍してました。いや〜もうこの頃の独医学は有名人を多く輩出して近代医学に大きく寄与していたことがよくわかります。

そんな中、アルツハイマーの元に、1901年嫉妬妄想などを主訴として訪れた女性患者が来ました。 この患者が1906年死亡すると病理解剖を実施し症例を学会で発表し、翌年論文にまとめています。

当時は認知症のほとんどが梅毒によると考えられていた様ですが、約5年間の経過観察と解剖所見からこの女性患者は、初老期に発症し進行性に記憶障害と妄想を主徴とする認知症で病理学的に老人斑と神経原線維変化を認めた病気だと結論づけアルツハイマー病 として報告しています。自ら名前をつけるところにジェームス・パーキンソンとの違いを感じてしまいます。想像ですが〜それはそれで激しい競争を感じてしまいます。

この症例については、1910年アルツハイマーの上司であるクレペリンが著述した精神医学の教科書で大きく取り上げられ、アルツハイマー病として広く知られるようになります。このことで、上司のクレペリンの度量の深さを感じますね。

ところで、最初の症例が40代後半 – 50代前半と若年発症であったことからアルツハイマー病は初老期の認知症として、よくある老年期認知症とは区別されていましたが、その後の研究で初老期のみならず起きることが分かってきて1960年代に盛んに行われた臨床病理学的研究から、同一のものであるとの結論にされどの年代でも特に65歳以降に発症するものとして現在認知症となる最も多い病気として認知されています。

2、症状

 アルツハイマー病は、不可逆的(元に戻らない)な進行性の脳の病気で、記憶や思考能力がゆっくりと障害され、最終的には日常生活の最も単純な作業を行う能力さえも失われる病気です。

 ほとんどのアルツハイマー病の患者では、65歳以降に初めて症状が出てきますが64歳未満で発症した場合は若年性アルツハイマー型認知症といいます。

 それではどんな症状が出るのでしょうか?

 特徴的なものとして記憶障害“特に短期記憶“と呼ばれるものが起こってきます。簡単にいうと今さっきのことは覚えていないのですが昔のことはよく覚えているという状態です。

 物忘れとも言いますが、老化によるもの忘れとは全く違います。典型的なものは食事をしたが何を食べたか忘れるというのが物忘れ、食事をしたことその物を忘れるしまうというのが特徴的物忘れです。この記憶の障害は脳の海馬の障害で起こります。海馬は記憶の項で説明しましたが、記憶の信号が最初に入ってくるところです。

アルツハイマー病の初発症状は、なんと言ってもこの記憶障害だと言って過言でありません。頭がボーッとしてスッキリしない、起こりぽくなる、わがままになる、眠れないなどの症状が見られます。65歳以上でこんな症状が出てきたらまずは専門医の診察を受けることが大事です。アルツハイマー型認知症の症状が現れると記憶障害の為思い通りに物事を運ぶことができなくなります。

中核症状」は記憶障害や見当識障害などからなり、「行動・心理症状」は妄想、徘徊、不安、焦燥、うつ状態、せん妄、暴力行為などからなります。特に行動・心理症状の発症にはご家族との関係性など環境要因の影響も強く、一人ひとり症状は異なります。

3、中核症状と行動心理症状(周辺症状)

 ところで、認知症の症状には中核症状と行動心理症状に分類されます。アルツハイマー病の代表的症状は記憶障害です。これは中核症状のひとつです。その他に、今日がいつか今どこにいのかがわからなくなる見当識障害、順序立てて作業ができない遂行機能障害、見たものが何かわからない失認なども中核症状です。

 それに、今までできたことができなくなったと落ち込んだり、周囲に怒鳴り散らす居場所や地図が分からず徘徊するなどという行動心理症状も出てきます。また、物を盗られた、浮気しているなどの妄想が出ることもあります。睡眠障害も伴うと昼夜逆転し、夜になるとさらに妄想や幻覚などが加わって出やすいのが夜間せん妄も起こりますがこれらは行動心理症状です。

脳内のアミロイド斑と神経原線維変化の2つは、アルツハイマー病の主な特徴です。3つめの特徴は、脳内の神経細胞(ニューロン)間の連結の消失です。

人によっては、治療によりアルツハイマー病の症状の悪化を抑えることができる場合もありますが、現在のところ、この深刻な疾患に対する治療法はありません。

3、脳内の変化

 アルツハイマー病がどのように始まるのかはまだわかっていませんが、脳の障害は、症状が出現する10年以上も前に始まっているとかんがえられて20年前から症状のない、発症前の段階で脳の中ではある変化が起こっているという研究もあります。

蛋白の異常な沈着により、脳のいたるところにアミロイド斑と神経原線維変化が生じ、ニューロンが、効率よく機能しなくなります。やがて病変は、影響を受けた脳領域は萎縮し始めます。アルツハイマー病の後期までに障害は広範囲に及び、脳組織は結果として萎縮します。

4、MCI

 アルツハイマー病はゆっくりと進行する病気です。

 症状が認められない発症前の段階から軽度認知障害(MCI)という中期の段階、そしてアルツハイマー病による認知症という3つの病期があります。今のところはこの病期を元に戻すことはできません。只々、進行するだけで気の遠くなる様な時間で進む病気がアルツハイマー病だと言うことだけは分かっていたいと思います。