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記憶のメカニズム!

1、記憶の伝搬経路

 記憶の経路というと、なんだかわかりにくいように思いますが、新しい記憶は脳の海馬に、古い記憶は大脳皮質にファイリングされると言われています。まず、聴覚、視覚、味覚など五感から新しく入ってくる情報は、電気信号として海馬に入り電気刺激として整理整頓されて大脳皮質にフィルされます。これを陳述的記憶と言います。

一方、運動例えば”泳げる”、”自転車に乗る”などという体感的な記憶は大脳基底核(筋肉を動かしたり止めたりする)と小脳(筋肉の動きを細かく調整する)が記憶します。これを手続き記憶と言います。

この手続き記憶は、私たちが体を動かし、何度も失敗をくりかえしながら練習するうちに、大脳基底核と小脳のニューロンネットワークが正しい動きを学び、記憶します。体で覚えた「手続き記憶」は、消えることなく、いつまでも私たちの大脳基底核と小脳に刻み込まれます。

このように人には、2つの記憶経路がありますが、陳述的記憶の信号を受け取る海馬は、非常にデリートにできていて壊れやすいと言われています。海馬が働かなくなると新しいことは覚えられなくなり、昔のことは大脳皮質にファイリングされているので覚えていると言う状態になります。

この記憶を活用しなければ意味がありません。と言うことで、少し脱線しますがそこで大脳皮質のあちこちに記憶されている情報を集めて、プラニング行うワーキングメモリと呼ばれる部分を前頭連合野と言います。この前頭連合野は非常重要な部分になっていて、人が他の動物とは異なるのはこの前頭連合野ではないかとも言われています。

2、記憶の種類

記憶の伝搬経路をたどる情報は、長期にわたって記憶されて前頭連合野で再利用されます。しかし、一方ですぐに忘れる情報も当然あります。もともと、人の脳は非常に効率的にできていて、いらないと判断した情報はどんどん消去されるように設定されていますから、忘れるということは自然です。

長期にわたって記憶するものを長期記憶、すぐに忘れる記憶を短期記憶と言って区別されていますが、大脳皮質にファイリングする情報と忘れ去る情報の判断は海馬が行っています。

海馬では、情報の長期記憶と短期記憶に振り分ける・・・もう少し簡単にいうと忘れる情報と記憶しておく情報の判断をどのようにしているのでしょうか?

海馬の働きは、①短期的に記憶する。②記憶の重要さを判断すると言う2つの役割があります。新たに入ってきた情報は海馬に一時的に記憶され、その後同様の情報が入らない場合不必要情報、短期記憶として消去します。一方で、繰り返し脳に入る情報は重要情報として大脳皮質に移動し長期記録としてファイリングされます。この方法が最も頻繁に起こっている情報の選択方法です。ほかにも情報選択にはいろいろな方法がありますが、それは別の機会にします。

3,年齢と記憶低下について

以上が記憶に関するメカニズムになっていますが、年をとると記憶は低下するのでしょうか?

脳の神経細胞の数は3歳から100歳までは変わらないということはわかっています。また、コロンビア大学の報告によれば海馬の検視結果で年齢にかかわらず成長途中の神経が年齢に関係なく見つかっているという報告があります。と言うことは解剖学的に年齢と記憶をつかさどる海馬の神経束の構成に変化はないということが証明されています。

それでは、なぜ記憶の低下が起こるのでしょうか?記憶の低下の原因は、①ストレス、②睡眠不足、③好奇心の欠如、④学習時間不足だというのは定説になっています。

例えば、ストレスを感じるとコルチゾール別名ストレスホルモンの分泌が高まります。このホルモンは注意力の低下や認知能力の低下、感情の乱れなどを引き起こすと言われています。そのうえ、海馬はストレスに非常に敏感に反応し長期間ストレスにさらされると神経細胞が委縮し記憶力の低下を引き起こすとされています。睡眠時間も同様で脳の休眠と体のバランスを保つだけの睡眠時間が必要になりますから、睡眠時間が短ければ効率が悪くなると同時に思考力低下につながります。

4,まとめ

脳の初期設定は忘れるようにセッティングされていますから、記憶力低下の原因は年齢ではなく他の要因であることは容易に想像がつきます。それゆえに記憶と脳の関係を十分理解することが大事になります。